採用活動
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「Z世代の特徴から考えるメディアコミュニケーションの在り方|スパイスボックス×ワークス・ジャパン」を開催しました。

出演者

 秋山 真 氏

株式会社スパイスボックス
採用コミュニケーション事業部
事業部長 プロデューサー
※現:株式会社No Company 代表取締役社長

秋山 真 氏

2016年にスパイスボックスへ新卒入社。1年間の営業プロデューサー経験を経て、2年目よりチームマネージャーに就任。3年目からは自ら採用コミュニケーション事業を立ち上げ、人事・採用広報向けソリューションを提供開始。 独自のソーシャルリスニングツールである 「THINK for HR」を用いた、SNSやweb上のビックデータ解析と、分析を活かしたプランニングが事業の強みであり、Z世代やミレニアル世代に刺さる採用コミュニケーションを立案。現在数々の大手企業をクライアントに持つ。

 鈴木 例愛

株式会社ワークス・ジャパン
ディレクション部 東京ディレクション課
プランナー/クリエイティブディレクター

鈴木 例愛

プランナー/クリエイティブディレクターとして、企業の新卒採用における広報戦略、メディアプランニングを支援。
プロモーション、ブランディング、マーケティングなど、広報領域におけるあらゆる知見を強みに、日本を代表する大手企業を数多く担当する。

鈴木 圭

株式会社ワークス・ジャパン
コミュニケーションデザイン事業部
プロモーション部 PR3課

鈴木 圭

Z世代をどう捉えるか

鈴木圭 鈴木圭
セッションに入る前に、Z世代の時代背景やZ世代の特徴をご紹介できればと思います。
まず、Z世代とは、1996年から2010年生まれの世代で、まさしく今の就活生が該当するわけなのですが、それより上の世代、ミレニアル世代がデジタルの進化を目の当たりにしてきた世代であることに対し、Z世代はスマートフォンや高速インターネット、SNSが当たり前に存在している環境で育ってきたデジタルネイティブ世代となります。Z世代を取り巻く環境としては「充実した社会インフラ」「不自由のない物資」「スマートフォン・SNSをはじめとする情報流通網」があり、常に便利さが身近にあり、かつ、さまざまな選択的自由を手にしているため、豊かさ・多様な価値観を持ち合わせて、それをシェアする世代であると言えます。一方で、リーマンショックや東日本大震災、マイナス金利、コロナパンデミックなど、経済の長期停滞期を目の当たりにしており、すなわち不安定な日本経済を体感している世代でもあります。そのような時代背景を受けたZ世代の特徴ですが、シェアという文化があるため発信をし、自分の独自性を承認してもらいたいという欲求が高い世代と言えます。また、より自己承認されやすい場所を作るため、SNSなどいわゆる裏垢を作り、その属性に合った情報を発信するような多面性も持ち合わせています。ただ、不安定な日本経済を体感しているため、現実的で安定志向な側面があることも特色になります。
以上がZ世代の概要となりますが、まずお二人はZ世代について、どういうふうに捉えているか、秋山さんからお伺いしてもいいでしょうか。


秋山 秋山
私は93年生まれなのでミレニアルの後半になるんですけど、3つ下はZ世代なので友達も含めて実感をすることもあります。多様性とか、まさにそのとおりだなと思いますし、キャリアに対しても正解が無いとか、企業選びに対しても「正解」が無かったりするので、選択肢が広い中で就職活動やインターンを進めていると思います。ですので、「何者にならなきゃいけない病」とかよく言っていますけど、やはり「こうならなきゃいけないんだ」とか「こうありたいんだ」みたいなことが強すぎたり、あとはそれを求めすぎて「キャリアの考え方がわかんなくなっちゃいました」みたいな学生に実際にお会いしていたりするので、そういうところに企業の採用担当者が、採用活動を通じて、キャリア教育の視点とか、学生と一緒にこれからのキャリアを考えていくことも、これからの採用担当者や私みたいなベンダーの在り方もあると思っています。
鈴木圭 鈴木圭
鈴木例愛さんはどうでしょうか。
鈴木例愛 鈴木例愛
Z世代はたぶん、2つ、マクロとミクロの視点が必要な気はしていて、マクロで言うと、最近だとREコマースとかサステナビリティとかエシカル消費とか言われていたり、就活だとエシカル就活なんて言葉が去年ぐらいから出てきたり、社会との繋がりとか、社会に対して何かインサイトを持っている世代なのかと感じています。多様であり社会性の高い世代なのかなというのが一つ。ただ、多様性というように、それぞれユニークなんですよね。なので、一人一人見ていくと、ユニークなので、逆に言うと特徴が無いとも言えるのかな。何かこの2つの視点で彼らを見ていくことが必要なのかと思っています。
鈴木圭 鈴木圭
どういう世代なのかっていうのは断定できない感じですね。
鈴木例愛 鈴木例愛
はい、そうですね。

「語られる時代」の攻略方法

鈴木圭 鈴木圭
ここから「Z世代に対するアプローチにおいて、チャネルをどう活用していくべきか」について、秋山様からお伺いできればと思います。
秋山 秋山
私は、マーケティング起点でお話しできればと思っています。
世の中の情報接触の変遷に関して、マス時代からインターネットが出てきて検索される時代から、そのあとSNSが普及して、情報の発信者がマスメディアとか企業だけじゃなくて、個人が発信出来るとか、あと発信された情報に対してエンゲージメントして、リツイートするとかコメントして広げていくように、語れるメディア、情報に触れられる人たちがすごく多い時代となっています。ですので、情報流通は「知らせる時代」から「選ばれる時代」になって、そして今、この「語られる時代」にどういうふうに情報を載せていくかがマーケティングの大前提となっています。採用においても、去年すごくオンライン化が進みましたけど、マス中心でシーズンも限られているところから、企業によってはウォンテッドリーのようなプラットフォームを使ったり、自社の採用サイトを使ったり、どうやって検索されて発見されるかが同じようにプラットフォーム、インターネット上でも起きています。去年は、情報収集の主戦場がさらにオンライン寄りになって、シーズン問わず通年での情報収集が当たり前になりました。そうなるとやはり学生は1日の中でSNSを見ている時間は長いので、そこでどうやって接点持つのか、ポジティブなイメージを形成出来るのかが結構重要です。なので、情報流通、採用広報もやはり「知らせる」「選ばれる」ところから、「語られる」文脈が今大事なのだと考えています。
そこの要点を分解して話していくと、ビッグワードで、かつ、マクロな視点で見ると、従来中心としていた大手ナビサイトや中途のエージェントの検索動向は、データで見てもアクティブ率は減少しています。ただ、採用に関するメディアや働き方を発信する場がすごく増えているので、情報のソース自体は拡大しています。なので、これまでシーズン的にも手法的にも偏っていた時代から、オンライン化によるデジタルシフトは促進されていますが、様々な手法の中から、学生や候補者の人たちに、どういう状態で、その企業を知るのか(認知)、興味を持って調べて体験・経験したいのか(興味・共感醸成)、受けるのか(理解)パネルをきちんと分けて、それぞれどこでどのような発信していくのか見定める必要があります。、Twitter、Facebook、Instagram、YouTubeそれぞれのプラットフォームの属性やフォーマット、いろんなコミュニティとかメディアもそれぞれで、こういう話題が合う、このメディアではこういう企業がすごくポジティブになりやすいといった特徴を捉えて、採用コミュニケーションを組んでいくようなことが必要になっていると思います。
ですので「語られる時代」の攻略方法としては、こういった立体的な採用広報活動とかコミュニケーション、すなわち採用マーケティングが出来るかどうかが重要だと思ってます。
特にSNSでのタッチポイント作りと、そこで何が起きているのかの分析も採用成功のポイントと思っています。
皆さん採用活動真っ只中なので、もう実感としてお持ちかと思うんですけども、やはり就活では転職サイトだけじゃなくて、SNSやウォンテッドリーを見て、受ける会社の社員のパーソナルな情報、口コミなどのリアルな情報を拾っている人たちがすごく多くなっています。さきほどお伝えしたように、「語られる時代」は、SNSで情報が媒介されることや、若年層・Z世代では、1日のメディア接触はかなりSNSが長く、そこでの情報をもとにしたコミュニケーションが活発になっています。例えばTwitterの「リツイート」や「いいね」など、情報に対してユーザーが反応することをエンゲージメントと呼んでいますが、このエンゲージメントの重要性を理解することが大切です。
このエンゲージメントがどういう特徴を持っていて、プラットフォーム内でどういう利点があるかなんですけど、以前はマス媒体などオフラインを中心に、メディアからの一方的なコミュニケーションが主体で、それを受動的に受ける情報消費者は認知から理解→共感→信頼→優位性→体験までパネルがあって、それをどのようにクリアしていくかだった。それに比べて現在は、スマホやSNSなど情報過多でと、自分で取捨選択して情報を選びに行くのでやはり構造が違っていて、「媒介となる人」(自分と近しい人とか、あと自分がフォローしている著名人)によって発信・リーチされる情報はすごく認知・共感されやすいですし、信頼が持たれやすいんです。今、採用広報上でも、SNS上でエンゲージメントされるコンテンツ、情報発信をどのように作るか、使うかが重要視されています。BtoB企業でも就活インフルエンサーや転職インフルエンサーの注目度が高ければ、バイネームで企業名がエンゲージメントすることもあります。
まとめると、手法は多岐に渡っているし、興味・関心領域によって見る媒体やSNSでフォローしている人たちが違うので、「認知」から「興味・共感醸成」までどうやって採用広報の方針を組んでいくかがやはり重要。就活生や求職者が接触する企業の数も情報量も多いので、ここで興味を持ってもらえるかは非常に大切です。企業を理解するフェイズは割と1 to 1のコミュニケーションとか、あとは最近お客さまにももCX、候補者体験が大事であるという話をしていますが、、そこを高めつつ説明会とか採用サイトみたいな受け皿のデジタルコンテンツは、より汎用的にしていくことが出来ると思っています。
マーケティング視点で見ても、採用市場はマーケティング市場とすごく似た変遷を踏んできていて、それをどう活用してこのオンライン化とかDX化に則って、新卒採用領域でも組んでいけるかがポイントだと感じています。
鈴木圭 鈴木圭
SNSは学生にとって情報収集のスタンダード、かつ、その情報や体験はシェアされる時代だからこそ有効になって来るものなのかなと思いました。今のオンラインシフトによっていろんなチャネルを検討され、その中でSNSを検討されている企業もいると思いますので、何かしらヒントになればと思います。では続きまして鈴木例愛さん。ブランディングの視点を踏まえてお伺いしてもよろしいでしょうか。
鈴木例愛 鈴木例愛
はい。今の話でSNSやメディア、チャンネルが多様化していくことを前提に考えたときに、やはりこれらのメディアをどう使いこなしていくかがすごく必要になってきます。それで、ブランディングに必要なのは「魅力」と「接触」、「一貫性」の3つの掛け算です。「魅力」は、どういう魅力を発信するかということです。「接触」は、それらを伝えるコミュニケーションの接点。それで、「一貫性」は接点における情報の整合性や連鎖になってきます。この3つの掛け算でブランディングは成り立っています。ですので、メディアが多様化していく中で、あっちこっちバラバラな情報を発信しているのではブランディングの観点からするとなかなかいい印象形成ができない。わかりやすい例が某テーマパークですけど、そこは一貫した世界観を持っていて、コンセプト、アトラクション、ご飯、キャスト、全てに一貫性があるからいつ行っても期待通りのテーマパークであると。例えば仮に、ちょっと違うコミュニケーションをするキャストが一人でもいたら、消費者にとってはそのテーマパークのイメージがそれだけで崩れてしまう。それぐらい、情報の一貫性や、どう連想させていくかがすごく重要になってきますので、あらゆるコミュニケーションの中でこの3つの掛け算をやっていきましょう、というところが基本方針です。
Z世代とリンクをさせていくと、やはり価値観や理念がすごく重要になってきます。今年のダボス会議でも「グレートリセット」というテーマがあったとおり、経済的な発展ではなくて幸福中心の社会、ここへの転換なんだというところが、今後の経済界だったり世の中の流れの中で進展していくとなったときに、企業の事業とか価値をどこにシフトさせていくかっていうと、ミッション、ビジョン、バリューとか、最近だとパーパスと言われているところだったりとか、やはり文化戦略をいかに作り出して浸透させて伝えていくか。これをさっきの3つの掛け算で、いかにあらゆるメディアを通じてコミュニケーションを作っていくかが重要かと思っています。便利さという機能の時代ではなくて、豊かさの時代、価値観の時代に変換していったというところがあるので、この文脈を自分たちの事業と結び付けながら、コミュニケーションをどう作っていくかが大切になってくると思っています。
鈴木圭 鈴木圭
ツールはもちろん、採用のイベントやインターン、面接官の方とかリクルーターがお話しされる内容に関しても一貫性を持って伝えるということが大事になってくるということですね。

Z世代に向けて何を発信していくか

鈴木圭 鈴木圭
次は、「Z世代に刺さるコンテンツとは?」について秋山様からお願いしてもよろしいでしょうか。
秋山 秋山
ちょうど今、視聴者の方から「BtoBの企業はSNSでどんな発信をしたらいいですか?」というご質問をいただいたんですけど、せっかくなのでそこも触れながら話していきたいと思います。
「Z世代にどういうコンテンツ刺さるのか?」という話を、この「THINK for HR」のデータを使って私たちがどのようにコンテンツを作っていくのかお伝えできればと思います。「THINK for HR」は、SNS時代の中、ターゲット学生や求職者の今の共感ポイントを分析し理解するためのツールです。共感ポイントの把握は結構難しくて、私たちはよく「モーメント的に変化する」とお話しするんですけど、やはりすごい移り変わるんです。去年では、コロナウイルスもSNS上で大きく話題になったんですけど、採用や働き方界隈で、ジェンダー論がバッと盛り上がった時期もありました。大きなトレンドだけでなく、小さなトレンドもある中から今の共感ポイントをきちんと理解して企業の魅力の伝え方を考えていかなきゃいけない。その上で、ターゲットに刺さるコンテンツや、共感される伝え方をアップデートする手法を私たちはこの「THINK for HR」を使って考えています。
国内ウェブメディア、採用やキャリア関連のメディアとSNSのポスト(Twitter、Facebook)データをクローリングして表示するようになっています。こういったデータベースを活用して分析し、戦略策定や採用サイトなどのオウンドコンテンツの制作の企画に活かしたり、広報・プロモーションに活かしたりしています。あとは、ナビサイト以外にもターゲットやテーマが違ういろんなメディアが、いっぱいあるので、そこをキャッチした上で発信する場所を考えていくために、データを見ています。
実際にどんなデータが見れるのか簡単にお伝えすると、例えば「エンジニア/キャリア」というキーワードを期間を設定して検索をすると、「エンジニア/キャリア」が含まれる記事・SNS投稿が「エンゲージメント」された数(Twitterでの「リツイート」「いいね」などのアクション数など)が数値の高い順番に、表示されます。いつもこれで企業名やメディアのURLなどを検索してデータを見ているんですけど、今お伝えしたような、ターゲットと関連性の高いキーワードを中心に、記事や投稿を分析して、共感されやすい切り口や世の中のトレンドを追いかけています。
その中で2020年、採用ブランディングや採用広報を形成する要素は4つ。1つめつは「人の魅力」。働く人・リーダー・経営者すべてが対象です。2つめは「就業の魅力」。働き方や制度、形成出来るキャリアなど。3つめは「財務の魅力」。コロナ禍で安定性や会社に守られる意義がSNS上ですごく問題提起されていました。4つめは「商品の魅力」です。やはりZ世代で多いのは「この商品・ブランドにどのような社会意義があるのか」「社会的にどういうふうに貢献出来るものなのか」を気にするので、それがどのような文脈でエンゲージメントしているか吸い上げる必要があると思っています。この4つはかなりまとまってエンゲージメントしていました。ですので、この4要素の情報をどう組んでいくかをよくお話しするんですけど、サブの要素として「企業のパーパス」や「SDGs」「マネジメント」「働き方の価値観」など、結構このフレームワークは固まったトレンドがあると思っています。
さっきの質問の回答を絡めると、この4要素はネームバリューがある企業・ネームバリューがない企業・中小企業・ベンチャー企業などでリソースのあるなしも含めて、どの情報発信が得意かにはかなり差があるんですよね。「商品の魅力」だとBtoBだとどうしてもわかりにくいとなったときに、「人の魅力」で伝えていくとか、「働き方」で伝えていくとか、そういう工夫が出来ると、もともとSNSでそこまで話題化していないBtoB企業でも効果的だと思っています。「人の魅力」では、リーダーのメッセージや採用担当者の活動自体もそうですし、就活生の共感ワードを起点とした社員インタビューもソーシャル上で広まりします。「就業の魅力」では、去年はテレワークやジョブ型採用もかなりホットワードでした。「財務&商品の魅力」では「大企業×スタートアップ」の切り口や、「大企業の中でも新規事業に挑戦できる」イメージのギャップなどが、ある層には刺さりやすいことも。先ほどお話しした企業の安定性を担保しながら新しいことに取り組める点ですよね。コロナウイルスをきっかけに、そういった口コミも多くなってきていると思っています。
あとはメディア別のエンゲージメントされやすい切り口も見えてきています。採用やキャリア関連メディアの中でも、例えば「就活直前になるとハウツーコンテンツがこういうメディアで盛り上がる」とか、「イノベーターや経営志向の人に刺さるコンテンツはこの時期にエンゲージメントしている」とか、多様なメディアでどんな切り口が受けそうなのか、逆にどんな切り口がどういうターゲットに受けているのか、何がエンゲージメントしているのかを見ると多方面に刺さるコンテンツを作っていけると思います。
鈴木圭 鈴木圭
やはり、そのときどきの共感ポイントをちゃんと理解して、個社ごとにリソースやファクトは違うと思うんですけど、そこで最善の魅力を発信していくところ、すごく綿密な設計が必要になると感じました。
では続いては鈴木例愛さんにプランニングの視点からお話しいただければと思います。
鈴木例愛 鈴木例愛
冒頭に、「個別で見たときに特徴が無い」という話をしたんですがユニークな思想が割と顕在化してきているところがあって、多様化する時代の中で細分化された自己実現の欲求に対してきちんとマーケティングコミュニケーションをしていくことが必要になると思っています。ポイントとしては、4つ。1つ目が「クオリティからクオンティティ」。簡単に説明すると「クオンティティ」は量なんですけれども、すべてを凝縮した質の高いコンテンツを発信するよりは多種多様な切り口から情報を発信していくということがすごく重要になってくる。テレビの時代からYouTubeとかNetflixにシフトしている要因はまさにこれで、テレビというチャンネルでの限られたコンテンツではなくてやはり顕在化された価値観の中で自分に合ったものを探したい、見たいっていう欲求の中で、そこへのシフトが加速しているところがあるので、1個質の高いコンテンツをやってグリップする、エンゲージメントするユーザーが何人かいるというよりは、いろんなかたちでコンテンツを発信してそれぞれにファンを作っていく、どこかでグリップしていくことが必要になると思っています。
2つ目の「オーソリティからフレンドリー」というところ、前提としてはファネル(漏斗)におけるコンテンツの役割という大前提はあるんですけれども、機能的な価値から体験価値と、解決から共感へのシフトという流れとともに、いわゆる洗練されたコンテンツよりも生っぽかったりリアルだったり日常的なコンテンツが好まれていく傾向があるし、ここに共感が生まれると思います。車の広告を例でお話しすると、機能とか格好良さより車を買ったあとの生活を訴求していくことできちんと共感を作っていく、この車を買ったときのその体験を作っていく、みたいなかたちがコンテンツに関しても必要になってくると思っています。
それでまた連動していく部分なんですけど「消費的から生産的」。ここはまさに昨今のオンライン化の流れで親和性の高い部分かと思っているんですけど、オンラインによって非言語領域における共感とか特別感が生産しづらくなっているというところがあるとは思うんですけども、一方学生は何に心を揺さぶられるかと言うと「緊張したけどなんか面接官とすごく気が合って話が弾んだ」とか、「そこでうまく話せた」とか、「手応え」とか、「すごく熱心にフィードバックをしてもらえた」とか、「胸が熱くなった」とか、その企業から発信される情報以外のところで割と特別な思い出や動機が生まれるんじゃないかと思っていて、そういった意味ではコンテンツを通じて消費ではなくて体験や共感を生産させていくことがすごく重要になるかと思っています。一見難しそうには見えるんですけど割とシンプルで、例えば「熱心に伝える」という人事のマインドセットもそうですし、事業紹介で言えば価値創造のストーリーを伝えるということもそうだし、仕事紹介ではなくて仕事体験とか、発信ではなく対話みたいなかたちでいかに体験をそこに取り入れていくか、体験を生んでいくか、情に訴えられるかというところが重要になってくると思っています。
最後に「機能からストーリー」。割とやりがちだったりするところで言うと「業界ナンバーワン」とか「売上げがいくらだ」とか一見魅力的なんですけど、機能の時代から価値観の時代になったときに、売上げ、トップシェアという話はやはりファクトでしかなくて、ファクトや機能に共感はなかなか生まれない、というのが大前提であるので、それぞれの会社や事業が持つその機能やファクト、実績みたいなところの意味をデザインしていくことが価値の文脈を作っていくという意味で大事かなと思っています。
繰り返しになるんですけど、道標になるのは、ミッション、ビジョン、バリューや企業のパーパスなんですよね。なのでさっきの事業紹介ではなくて価値創造のストーリーだと申し上げたところはまさにそれで、共感の時代に必要なコミュニケーションをいかに形成出来るかがこれからの差別化戦略には必要なんじゃないかなと思います。

Z世代に対する今後のオンラインを通したコミュニケーションの在り方

鈴木圭 鈴木圭
最後に「Z世代に対する今後のオンラインを通したコミュニケーションの在り方」についてお話をお伺いできればと思います。まず秋山様から。
秋山 秋山
重要なポイントは3つです。1つ目は、やはり「自分たちを知る、競合を知る、市場を知る」。これはマーケティング用語でいうと3C分析と言うんですけど、構造的にも今、採用活動にマーケティングが必要な時代になってきているので、きちんと3C分析しましょうというのは1つ、すごい重要だと思っています。
2つ目が、情報が届くための「導線設計」です。よくあるのが、「オンライン化したときにYouTube説明会だけやったんですけど、なかなか学生来ません」「オウンドメディアを立ち上げて採用サイトをすごく変えたんですけど、なかなか学生来ません」みたいなこと。どういう状態の候補者に、どこでどんな情報を当てて、そこからどのようにオンライン上で遷移させていくのか、きちんと設計して実行していく。情報流通の導線設計はわかりやすくシンプルに、まずSNSでリーチして、その後記事を読んでもらって、採用サイトに来てもらって、イベントに出てもらって、エントリーしてもらう、みたいな、ターゲットに情報が届く動線設計になっているかが重要です。
最後に「コンテンツや施策自体の役割分担」。ターゲットに対して、エントリー意欲をどう上げていくのかとか、それぞれのパネルで何をしていくのかもそうですし、そもそもエントリー意欲が無い人たちにどうやってリーチしてエントリー意欲を持ってもらうのかも、適しているツールやメディアがかなり違ってくるので、そこは最初に取捨選択してプランニングするということが重要だと思います。
訴求軸を考えたり、プランニングしたりするときに、自分たちがとっていきたい企業イメージ(こうありたい、こうなりたい、こういうふうに思われたい)だけじゃなくて、やはり世の中の共感ポイントを捉える必要があります。私たちのSNSデータからは、競合他社が過去3年間どんな採用広報をやっていて、どんな反応がそこから生まれているのかも、データで見れるんですけど、競合の調査、メディアの調査も含めて、学生・求職者の共感ポイントをちゃんと知っておく。それでコミュニケーションを作っていくということが重要だと思っています。SNSデータ分析に限らず、学生や内定者へのヒアリングなど挑戦できることはたくさんあると思っています。
あとは自社業界の話題に閉じず、世の中の話題「ジェンダー」「イノベーション」「働き方/キャリア」など、こういうところから企業に興味を持つことが、情報流通構造上起こり得るので、広く外側までコンテンツを発信して共感されやすい文脈を導き出すことが重要かなと。
今日は概念やフレームワークを中心にお話しましたけど、具体的には先ほどのデータベースを使って、お客さまに合わせたにアドバイスやプランニングをしますで、ニーズがあればお問い合わせいただければと思っています。
鈴木圭 鈴木圭
ちゃんと自社を分析して、施策やコンテンツの役割を定めながら決めていく戦略が必要になってくるということですね。続きまして鈴木例愛さん、お願いします。
鈴木例愛 鈴木例愛
ブランニングの観点からも、自社に対する徹底的な理解は大前提と思っています。競合他社の中で、自分たちはどういうポジションなのかをきちんと定義するところと、そこに一貫性を持って、メジャーでのコミュニケーションを作っていく。その時にも、どういうタッチポイントがあって、そこでは何をどう伝えるべきなのかというところの文脈をきちんと整理していくことはすごく重要になると思っています。
「Z世代に対するオンラインコミュニケーションの在り方」で言うと、オンライン化が進めば進むほどリアルのコミュニケーションの場の価値がすごく上がってきていると捉えていて、デジタルをベースにいかにリアルを学生と作っていくか、持っていくかという戦略も含めて設計していくことが今後重要になっていくと思います。