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「多様な人材」を採用するブランディング・戦略のご紹介|採用総括セミナー[第一部]

Works Review 採用総括セミナー[第一部]

働き方の多様化・少子高齢化に伴う労働人口の減少、グローバル化などの影響により、新卒採用にも大きな変化が訪れています。従来の採用は、自社の風土にマッチする人材や活躍している社員に似た価値観・能力を持つ人材を積極的に採用するケースが大半でした。

しかし、ビジネスのグローバル化が進み消費行動の多様化が加速する今、中長期的な企業成長を促すためには、
“既存社員にはない能力・新たな価値観を持つ人材の採用”が不可欠になりつつあります。

人材の多様性を求め、新卒採用において既にダイバーシティ採用に取り組む企業も多いのではないでしょうか?

 

そこで、多様性に目を向け採用活動に取り組む2社をゲストにお招きし、【WORKS REVIEW】を実施。
本記事では24卒採用を振り返りながら、25卒採用に向けて参考にしたい「多様な人材を採用する取り組み」をレビューします!

 

 INDEX 

◆ 企業の競争力強化につながる「ダイバーシティ採用」
- そもそも“多様な人材”はなぜ必要?
- 新卒における「ダイバーシティ採用」の課題

◆ 多様な人材を確保する採用ブランディング【WORKS REVIEW実施内容】
- “多様な人材”の定義をどう捉える?
- 多様性を実現する〈プレサイト期〉の取り組み
- 〈インターンシップ後〉のフォローと情報提供の在り方
- 〈内定承諾期〉の取り組みと学生の意思決定フォロー

◆ 採用施策のより詳しい内容は「アーカイブ配信」で!

 

 

◆ 企業の競争力強化につながる「ダイバーシティ採用」


そもそも“多様な人材”はなぜ必要?

「ダイバーシティ採用」とは、様々な属性の人材を採用する人材戦略の1つ。
特定の属性に偏らず、あえて多様な人材を採用する方針・採用活動のことを言います。

採用競争が激化する新卒採用においては、性別・国籍・卒業大学や専攻のほか、適性検査の数値や価値観など、内面的な特性が含まれるケースも多々あり、さらには業界を越えて優秀な人材を採用できる点が期待されています。
そして既存社員に対しても、新たな刺激・価値観をもたらし組織のイノベーション創出にも寄与するとして注目を高めています。

また企業としても新しい属性の人材を採用することで、新たな価値創造・提供が可能になり、企業の競争力を高められるメリットがあります。

 

なお、ダイバーシティについてはインクルージョン(※)と共に、一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)が
平成 29 年に発表した『ダイバーシティ・インクルージョン社会の実現に向けて』にて、その重要性が記されています。

◆参考資料: 一般社団法人日本経済団体連合会『ダイバーシティ・インクルージョン社会の実現に向けて』(平成29年5月16日)[PDF]

 

(※)インクルージョン:互いの能力・価値観を尊重し、活かし合う考え方・状態

 

新卒における「ダイバーシティ採用」の課題

多様性を確保するためには、既存の母集団形成だけでは競合との消耗戦になることは避けられません。

ダイバーシティ採用を実現するためには、学生が抱いてきた企業イメージの払拭や一新に努めたり、
業界を越えて学生の認知を広げたり、様々な層の学生との接触機会を増やしたりするなどの取り組みが不可欠です。

このことを踏まえ、特に新卒採用においては、受け身・タイパ世代の学生に対し

 - どのような情報を発信すべきか?
 - どのような選考スケジュールを設計すべきか?
 - 属性の違う人材の入社後ギャップをどのように埋めていくのか?

などの課題を解消しなければなりません。

ダイバーシティ採用に取り組む企業の多くが、同じような課題を抱いているでしょう。

これを成功させるためには、これらの課題に対して効果的な戦略の策定と学生フォローの実施、
導線を途切れさせないスケジュールの設計が必要
になるでしょう。

 

 

◆ WORKS REVIEW 実施内容


多様な人材を確保する採用ブランディング

 ~業界志望学生以外からの認知を上げるインターンとフォロー~

 

多様な人材の採用は、「広く求人情報を打ち出せば良い」「ただ属性の違う人材を採用すれば良い」というものではありません。
業界を越えて認知を広める戦略的施策
さらには内定承諾に至るまでの学生との相互理解・信頼関係の構築が鍵となります。

今回は、多様性に目を向け採用活動に取り組む「伊藤忠商事株式会社」「ユニ・チャーム株式会社」の新卒採用ご担当者様をお招きし、WORKS REVIEW を実施。

24卒採用で実際に取り組まれてきた、多様な人材獲得のための取り組みについてご紹介いただきました。

 

※出演者情報はセミナー開催時点(2023年9月13日)のものです。

出演者

市川 丈陽 氏

伊藤忠商事株式会社
人事・総務部 採用・人材マネジメント室

市川 丈陽 氏

■2021年入社(3年目)
■担当分野:採用全般
■業務内容
1年目:内定者フォロー(内定式・入社式運営)、インターンシップ主担当
2年目:2024年卒新卒採用のPRツール(HP・SNS等)、新入社員配属、キャリア採用新規施策担当
3年目:2025年卒新卒採用統括として全体戦略を担当。

辻本 慎太郎 氏

ユニ・チャーム株式会社
グローバル人事総務本部 人事部 キャリア形成支援グループ

辻本 慎太郎 氏

2019年にユニ・チャーム株式会社に新卒入社。
ジャパン営業統括本部にて2年間、流通企業に対する販売戦略提案に従事。
2021年1月より現職。採用戦略立案から実行までを担当。
現在は採用チームリーダー。

“多様な人材”の定義をどう捉える?


ユニ・チャーム辻本 ユニ・チャーム辻本

◆採用概要|ユニ・チャーム

営業職を始め、マーケティング職・商品開発職・デザイン職・製造技術職など、計60名の採用を実施。
25卒採用に向けては、24卒採用に引き続き『コース別採用』『マイページでのコンテンツ発信』に取り組む。



◆ユニ・チャームが考える“多様な人材”


私たちは、属性でダイバーシティを図るより、専門性や価値観が多様であることを理想としています。そのためユニ・チャームの『パーパス』『ミッション』『ビジョン』『バリュー』の軸に共感する人であれば、基本的にはどの学生も採用の対象になると考えています。
また当社では、自身の専門性を理解し、どのようなキャリアを歩みたいのかを自分で決めて努力する姿勢を大切にしています。コース別採用をしている背景もそこにあり、専門性や価値観における多様性を重視し、属性を問うことはありません。

さらに今時の学生は、既に多様性を持っています。私たちがバイアスをかけることなくオープンに採用活動に取り組めば、自ずとダイバーシティ採用は実現できるでしょう。それくらい学生の考え方は多様化しており、就活のやり方・生き方・働き方などが複線化してきています。
私たちとしては、可能性を秘めた学生を排除してしまわないような採用を意識しています。

伊藤忠商事 市川 伊藤忠商事 市川

◆採用概要|伊藤忠商事

総合職100名~120名、事務職15名の採用に取り組む。
『Instagramを通じたSNS採用の深化』及び『自社施策を通じたマッチング採用』に注力。



◆伊藤忠商事が考える“多様な人材”


伊藤忠商事における“多様性”とは、多様なもの・ことを受け入れられる人材や許容性の高さを指すと考えています。
そのため私たちは、これまでの経験が多様であることはもちろんですが、自身の経験から色々な人を許容できたり受け入れられたりする素養を重視していますね。

多様性を実現する〈プレサイト期〉の取り組み


ユニ・チャーム辻本 ユニ・チャーム辻本

企業側のバイアス排除|ユニ・チャーム


Z世代と呼ばれる今の学生は、多様性に富んでいます。
企業さえ構えなければ、自然とダイバーシティは担保されるはずです。

そのため当社では、各現場のマネージャー層のバイアスをいかに取り除けるのかを意識しながら選考フローを設計しています。また採用だけに留まらず、組織全体で多様性を受け入れる準備をしていくことも重要だと考え、各部署との情報共有も積極的に取り組んでいます。

ユニ・チャーム辻本 ユニ・チャーム辻本

定期的なマイページコンテンツの配信|ユニ・チャーム


また就活が複線化する中、学生の就活スタイルも多様になりつつあります。
当然、就活に力を入れられる時期や時間の掛け方もそれぞれ。
もしワンシーズンだけしかインターンシップを実施しなかった場合、その時期以外にユニ・チャームに興味を抱いてくれた学生を排除してしまうリスクがあります。

そのためユニ・チャームでは、学生がいつマイページを作ってもインターンに参加できるよう、スケジュール設計にはこだわっています。夏・秋・冬とシーズンごとのインターンシップ実施や、秋インターンシップにおいては締め切りを6回設けるなど、常に学生のネクストアクションを用意していますね。

さらにマイページの設計にも注力しています。
「ユニ・チャームのマイページを訪問すると、新しいヒントや気付きが得られるのではないか?」と思ってもらえるような内容を意識し、定期的なコンテンツ発信にも努めています。

というのも、当社では一昔前まで「人をたくさん集める」という採用スタンスでした。しかし今は「マイページの登録者からいかに採用できるか」に考えがシフトしています。
マイページ登録者を休眠させない仕組みを作ること、常に学生のマインドシェアを取れている状態を作ることを徹底するようにしていますね。

伊藤忠商事・市川 伊藤忠商事・市川

マス向け施策に注力|伊藤忠商事


総合商社という業界特性から、伊藤忠商事はイメージで語られることが多い傾向にあります。
多様性を担保する採用に取り組むには、学生が抱くイメージを覆していかなければなりません。
当社では業界からの影響を受ける企業イメージを覆すようなブランディングを実施するため、インターンシップに参加してくれた学生はもちろん、そうでない学生まで訴求できるようマス向けの施策を重視している点が特徴です。

その施策の1つとして、外部イベントへの出展が挙げられます。
総合商社にありがちな体育会系・文系男子のイメージを払拭するため、イメージとは真逆の理系女子などの属性別イベントにあえて出展し、イメージ転換を図っています。
イメージとは異なる学生からの応募を募ることで、フラットなイメージを作っていきたいですね。
インターンシップに参加できる学生数は限られていますが、学生の間で口コミが広がれば、社会に向けてもその情報が拡散されます。最終的には、“体育会系”“文系男子”といった企業イメージも覆していけると思っています。

またイベントで興味を持ってくれた学生にはOB/OG訪問の場を用意し、冬インターンシップにつなげています。インターンシップでは、学生自身が求めるキャリアに合致するのかを見極める場にして欲しいと考えています。そのためインターンシップ時点から、参加者を属性で区切らない選考を意識しています。

〈インターンシップ後〉のフォローと情報提供の在り方



ユニ・チャーム辻本 ユニ・チャーム辻本

学生との接点を毎月設ける|ユニ・チャーム


インターンシップの実施やインターンシップ満足度の高さは、もはや当たり前になっていますよね。
その中で当社ではインターンシップ後のフォローとして、学生との接点機会を意識的に毎月設けています。
接点を図るコンテンツも若手社員とのラフな座談会から、選考が近づくにつれブランドマネージャーや課長クラスとの面談など、コンテンツにも変化を持たせるようにしています。

ユニ・チャーム辻本 ユニ・チャーム辻本

マイページ上の情報量・質の充実|ユニ・チャーム


またユニ・チャームでは、企業と学生との間の情報の非対称性をなくすことも意識して取り組んでいます。

特に最近では、マイページに登録してくれている学生をいかに採用につなげられるかを重視していることから、情報を届けるターゲットをマイページに登録してくれている学生に絞り、届けなければならない情報を整理した上で正しく情報を提供できるようにしています。

情報の量と質が充実していれば、きっと安心してユニ・チャームへの入社を決めてもらえるようになるのではないでしょうか。
そのため、キャリアナビゲーター(=リクルーター)にも、ネガティブ情報も含め学生とのコミュニケーションに制限を設けるようなことは伝えていません。
残るべくして残った学生のエンゲージメントを高め、『パーパス』『ミッション』『ビジョン』『バリュー』といった本質的な部分でグリップを握れるようなフォローを大切していますね。

伊藤忠商事・市川 伊藤忠商事・市川

イメージとのギャップを埋めるフォロー対談|伊藤忠商事


インターンシップ実施後は、学生の心理的安全の確保に努めています。
特に学生の属性と学生がこれまで抱いていた伊藤忠商事へのイメージが異なるほど、「自分のような属性の人間が活躍できるのか」といった悩みを抱いてしまいます。
悩んでいる学生に対しては、同じ悩み・状況を経験した社員と対談できる場を提供し、フォローに努めています。

伊藤忠商事・市川 伊藤忠商事・市川

会社の実情を伝えきる|伊藤忠商事


また企業と学生間での情報の非対称性についても、企業の実情を伝えきってしまったら採用市場において不利になると思われるかもしれません。
しかし「入社後に活躍してもらうこと」「エンゲージメントを高めること」も含め採用活動だと考えると、
たとえネガティブ情報を伝え辞退率が高まったとしても、本当にマッチングした人材を採用したほうが会社全体の人事施策として功を奏すのではないでしょうか。

反対に情報の非対称性を保ったまま入社に至ってしまうと、早期退職などの懸念も起こり得るでしょう。
実情を伝えきり、学生自身が納得した上で入社してもらうことを大切にしています。

〈内定承諾期〉の取り組みと学生の意思決定フォロー


ユニ・チャーム辻本 ユニ・チャーム辻本

不安解消のための面談やフォロー|ユニ・チャーム


選考が始まった時点で、その期の採用計画が達成できるかどうかは既に8割ほど勝負が決まっています。

ただこの時期は、学生も意思決定に入るフェーズ。
これまでの視野を広げる活動から一転し、企業を1つに絞っていかなければならない時期です。

そのため不安を抱える学生には、悩みのポイントを引き出し、同じような属性や悩みを抱いていた社員との面談の場を提供しています。時には、執行役員との面談をセッティングすることもあります。
この時期はそれだけの価値があり、意思決定に必要な情報は惜しみなく提供しています。

やはり最終的な意思決定に差し掛かるこの時期に学生が抱える悩みを引き出せるのは、マイページ登録している学生を中心に情報発信に努め、信頼関係を築いてきた取り組みが活きていると感じますね。

伊藤忠商事・市川 伊藤忠商事・市川

マインドシェアを短期集中で高める|伊藤忠商事


まず、伊藤忠商事の選考は時期が遅いため、選考に至るまで継続接点としてInstagramを活用したSNS発信やOB/OG訪問を実施しています。

また業界の特殊性も相まって、企業よりも業界に目を向ける学生が多い傾向にあります。
複数の商社から内々定を得ている学生も多いため、当社では選考やフォローでいかに学生の興味・関心を惹くことができるのかを重視しています。

特に選考の場にはマネジメント層が登場します。学生にとっては、自分の上司と働くイメージを掴む場でもあるため、私たちも選考は学生から評価される場であることを意識し、面接官の教育に注力しています。

また内々定の承諾期には、オワハラをしないこと、職業選択の自由を妨げないことを必ず守るようにしており、最終的な選択・決定は学生に委ねています。
そして悩みを抱く学生に対しては、同じ悩みを抱えたことのある社員と話す機会を提供し、共に不安や悩みの払拭に努めています。

このようにして選考から承諾に至るまでの期間の中で、感情面における伊藤忠商事のシェアがポジティブな形で高まるようなフォローを心がけています。
短期決戦にはなりますが、当社として特に注力している取り組みですね。

採用施策のより詳しい内容は「アーカイブ配信」で!



当日お話しいただいたWORKS REVIEWの動画をアーカイブで配信しています。
「多様な人材」を獲得するためのヒントを得られるはずです!ぜひご視聴ください。

 【アーカイブ配信対象】

 収録日: 2023/09/13
 テーマ: 採用総括セミナー 26卒採用マーケット予測・24卒総括と25卒速報から考える一手
  【第一部】多様な人材を確保する採用ブランディング~業界志望学生以外から認知を上げるインターンとフォロー~

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