採用競争が激化するキャリア採用では、高い転職意欲を示す顕在層のみならず、転職潜在層への効果的なアプローチも必要視されつつあります。
さまざまな手法が話題に上がる中、「アルムナイ採用」もキャリア採用における転職顕在層への有効なアプローチ手法として注目されています。
そこで今回は、アルムナイ採用に取り組む「株式会社日立製作所」「三菱重工業株式会社」の人事担当者様をゲストにお招きして、【WORKS REVIEW】を実施。
アルムナイ採用導入のきっかけや狙い、運用を成功に導くポイントをレビューします!
INDEX
◆アルムナイ採用とは
【WORKS REVIEW 実施内容】
- 各社のキャリア採用概要
- アルムナイ採用導入のきっかけ
- アルムナイ採用を開始してメリットに感じた点
- アルムナイ向けのメッセージで意識している点
- アルムナイ採用を導入するにあたって意識したいポイント
- 各社アルムナイネットワーク活用の展望
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◆ アルムナイ採用とは
「アルムナイ採用」とは、自社を離職・退職した人材を再雇用する手法を指します。
退職者と継続的な接点を持ち続けるためのネットワークやコミュニティを構築し、ネットワークやコミュニティに参加したアルムナイ(退職者)に対して自社の採用情報や事業情報を発信することで、再就職への興味喚起を促します。
アルムナイ採用を導入することで得られるメリットはさまざまですが、中でも「即戦力の採用」「採用コストの低減」に強みを持つ点が大きな特徴と言えるでしょう。
アルムナイ採用は、過去に一度自社に在籍していた経験を持つ人材がアプローチ対象になることから、採用に至る人材は自社の理念や風土、文化などに理解を示していたり、社内ルールや業務の推進方法を把握していたりするケースが大半です。
そのため、他の手法で採用した人材と比較して組織定着や業務理解が早く、入社直後から即戦力として活躍できる可能性が期待できます。
さらに、アルムナイ採用は、転職サイトや転職エージェントなどの採用支援サービスを利用せずとも人材を採用できるため、運用次第では採用コストを抑えられることもあるでしょう。
◆ WORKS REVIEW 実施内容
採用チャネルの多様化や組織力・採用力の強化を目的に、アルムナイ採用の導入を検討している企業も多いかと思います。
一方で、アルムナイ採用の導入にあたって留意すべき点や効果的な運用方法を知りたいと考える人事ご担当者様、アルムナイ採用を導入したものの期待する効果が得られていないと悩む人事ご担当者様も少なくないでしょう。
今回は、アルムナイ採用に取り組む「株式会社日立製作所」「三菱重工業株式会社」の人事担当者様をお招きし、WORKS REVIEWを実施。
各社のアルムナイ採用における具体的な取り組みや、実際の運用を通じて知り得た導入のポイントなどについてご紹介いただくとともに、今後に向けた課題や展望についても伺いました。
※出演者情報はセミナー開催時点(2024年10月15日)のものです。
出演者
株式会社日立製作所
人財統括本部人事勤労本部 タレントアクイジション部
部長代理
坪井 研 氏
三菱重工業株式会社
HR戦略部人材開発グループ採用チーム
上席主任チーム統括
福岡 祐一 氏
2008年に三菱重工に新卒で入社。
入社以来一貫して人事職に従事し、量産品・プラント・インフラなど複数の事業部門を経験したのち現在は本社採用チームで全社の新卒・キャリア採用全般を所管。
各社のキャリア採用概要
>株式会社日立製作所
・アルムナイ採用立ち上げ時期:2023年3月
・年間キャリア採用数:560名(2023年度実績)
・採用手法:エージェント、アルムナイ・キャリアネットワーク、リファラル、ダイレクトリクルーティング、キャリア採用サイト
>三菱重工業株式会社
・アルムナイ採用立ち上げ時期:2023年10月
・年間キャリア採用数:約200名(2023年度実績)
・採用手法:エージェント、アルムナイ、リファラル、ダイレクトリクルーティング、キャリア採用サイト
アルムナイ採用導入のきっかけ
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株式会社日立製作所
坪井 -
日立製作所がアルムナイ採用を導入したきっかけは、主に2つあります。
1つ目は、キャリア人材の採用目標数が増加し、採用チャネルを増やす必要性が高まった点が挙げられます。
アルムナイ採用を導入することで、キャリア人材とのタッチポイントを増やしたいと考えました。
また、弊社では現在、ジョブ型人財マネジメントの推進に注力しており、社員が自身のキャリアの自律性を考えるきっかけ作りにも取り組んでいます。
日立製作所という組織から離れたとしても、さまざまな繋がりを通じて相互関係が保てる旨を示すとともに、アルムナイ採用の運用を社外に発信することで“日立製作所に戻ること”をキャリア形成における選択肢の1つにしてもらえたらと思い、アルムナイ採用を導入致しました。
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三菱重工業株式会社
福岡 -
三菱重工業もキャリア採用の人数が増加しており、現行の採用手法だけでは立ち行かなくなる懸念があり、採用チャネルの多様化を目的にアルムナイ採用を導入致しました。
また、退職しても戻れる環境がある旨を、制度化を通じて示したかった点もアルムナイ採用を導入したきっかけの1つです。
アルムナイ採用を開始してメリットに感じた点
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三菱重工業株式会社
福岡 -
アルムナイ採用を開始してメリットに感じた点は、社内にアルムナイを受け入れる風土が根付き、採用に繋がっていることですね。
正式にアルムナイ採用を導入することで、在籍社員から退職した方々にアルムナイ採用を導入した旨が伝わり、再入社に至るケースも見られるようになりました。
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株式会社日立製作所
坪井 -
アルムナイ採用を開始したことで、個人的な繋がりが途絶えた方々にも日立製作所に戻りキャリアを築ける旨が認知され、「日立製作所に戻ること」が次のキャリアを築く際の選択肢に含まれるようになったと感じています。
正式に制度化する以前からも退職者の再雇用は行われていましたが、再雇用に至るケースは在籍社員と個人的な繋がりを持つ方々に限定されていました。
その点、正式に制度として導入したことで、個人的な繋がりが途絶えた方々にも効果的なアプローチができるようになりました。
アルムナイ向けのメッセージで意識している点
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株式会社日立製作所
坪井 -
アルムナイネットワークに参加した方々の興味を継続させ、弊社の動向をキャッチし続けてもらうことがポイントだと考えています。そのため、アルムナイ宛のメッセージは、価値ある情報だと感じてもらえる内容になるよう意識して制作しています。
一例としては、再入社した際に担う業務や築けるキャリアなど。自身がアルムナイの立場になったことを想定しながら、アルムナイが求めていると思われる情報の発信に努めています。
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三菱重工業株式会社
福岡 -
弊社でも、アルムナイネットワークに参加した方々との繋がりを保ち続けることを大切にしています。ただし、継続的な繋がりを維持するためには、やはりアルムナイが高い興味・関心を示す情報の発信が必要だと感じています。
弊社では、社内報に掲載された記事などインターネット上では収集できない情報やアルムナイ採用で再入社した方々のインタビューを発信するなどして、アルムナイネットワークに参加する価値の提供に努めています。
アルムナイ採用を導入するにあたって意識したいポイント
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株式会社日立製作所
坪井 -
アルムナイ採用を導入する際は、運用目的をしっかり定めた上で、導線や運用方法を設計する必要があると感じています。
アルムナイ採用は、アルムナイネットワークを構築して終わりではありません。アルムナイネットワークに参加してくださっている方々がメリットを感じ”参加し続けるべきだ”と捉えていただけるようなネットワークにしていくことが非常に重要です。
そのためには、相応のコストや工数が発生することを理解し、何を目的にどこまで工数をかけるのかまで含めて設計できると、その後の運用はスムーズになるのではないでしょうか。
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三菱重工業株式会社
福岡 -
アルムナイ採用を導入する目的の設定はもちろん、アルムナイネットワークの規模の見極めや導入するシステム、継続可能な運用方法、発信情報などは、設計初期の段階である程度考えておく必要があるでしょう。
また、アルムナイ採用を導入した際の告知方法や以降の退職者に対しての周知方法も、制度導入時に考えておきたい事項だと思われます。
弊社では、アルムナイ採用を開始した際、退職者の方々にメール(携帯電話のショートメッセージ)で案内を送付したり、在籍社員に対しては全社メールで展開したりなど、初動の際に多くの方々に周知を行いました。
その結果、登録者も目に見えて増え、アルムナイ採用の運用にも寄与したと感じています。
アルムナイ採用の告知・周知も運用を軌道に乗せる上で重要なポイントの1つになるため、どのようにしてアルムナイ採用導入の旨を告知・周知するのかも考えておいたほうが良いかもしれませんね。
各社アルムナイネットワーク活用の展望
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三菱重工業株式会社
福岡 -
現在は、まだアルムナイネットワーク参加者からのアクションを待っている状態です。
そのため、次のステップとしては事業部門と連携しながら求める人物像に近い人材に対してこちらから積極的にアプローチできる体制を整えていきたいですね。
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株式会社日立製作所
坪井 -
弊社も同じく、現状は一方通行のコミュニケーションに留まっています。今後は一方通行のコミュニケーションから脱却し、インタラクティブなコミュニケーションを実現していきたいと考えています。
また、先日アルムナイ採用導入から1年経ったタイミングで日立製作所独自のアルムナイ運用から日立グループ横断の運用へと転換しました。以前に在籍していた会社に限らず、グループ各社も選択肢として検討いただけるようにしていきたいですね。
加えて、今はアルムナイの注目が採用に集まっていますが、いかにして事業活動においても互いにWin-Winな関係を築ける制度にできるのか、という点も大きな課題の1つだと捉えています。
採用だけの枠組みに限定せず、事業活動にも寄与する制度に昇華させていきたいですね。
即戦力採用を実現!アルムナイ採用の最新成功事例
詳しい内容は「アーカイブ配信」で!
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<その他、こんなこともお話しています!>
◆ アルムナイ採用で入社に至った社員の様子
◆ アルムナイ採用制度を告知する際のポイント
◆ アルムナイ採用になる対象者の要件
◆ 外部サービス利用のメリット等
当日お話しいただいたWORKS REVIEWの動画をアーカイブで配信しています。
昨今のキャリア採用市場のニーズに即した取り組みについて知見を深められるだけではなく、キャリア採用における課題の改善に向けたヒントも得られるはずです!ぜひご視聴ください。
【アーカイブ配信対象】
収録日: 2024/10/15テーマ: 即戦力採用を実現!アルムナイ採用の最新成功事例
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2002年日立製作所入社。
電力システム事業の人事担当として日本・ドイツで従事。
2011年よりグローバル人財本部にてグローバル人財施策の企画や導入、クロスボーダーM&AのDD・PMI等を担当。
2020年日立産機システムのHRマネジャーを経て、2023年より現職でキャリア採用や採用ブランディング等に携わる。