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近年、社会情勢の急速な変化やDX化に伴い、事業モデルの変革を迫られている企業は少なくありません。しかし、事業モデルの変革を推進するにあたっては、人材ポートフォリオの強化・見直しが不可欠です。
そのような背景の中、多くの企業が人材ポートフォリオの強化・見直しに向けて、ジョブ型採用を導入し始めています。新卒採用においても従来の総合職一括採用から、能力本位のジョブ型採用に切り替える企業が増えつつあります。
今回は、豊富なアセットと高い技術を活用し、クロスインダストリーで社会課題の解決に取り組む、「東日本旅客鉄道株式会社」と「富士通株式会社」の人事ご担当者様をお迎えし、【WORKS REVIEW】を実施。
ワークス・ジャパンが実施した「27卒学生の就職活動における意識調査」の結果も交えながら、新卒採用におけるジョブ型採用導入のきっかけや課題、具体的な取り組みについてレビューします!
INDEX
◆ 27卒学生の就職活動における意識調査
【WORKS REVIEW 実施内容】
- 新卒一括採用を見直した背景
- ジョブ型採用導入の手順と現時点の評価
- 経営戦略と連動した人事(採用)戦略遂行に必要な採用担当のマインド
◆ 新卒一括採用から”能力本位”のジョブ型採用導入への道程
~事業モデル変革を担う人材ポートフォリオの強化~ 詳しくはアーカイブ配信で!
◆ 27卒学生の就職活動における意識調査
ワークス・ジャパンが実施した「27卒学生の就職活動における意識調査」によると、27卒学生が企業選びで重視するポイントは、26卒学生と比較して大きな変化はなく、「社風が自分に合うか」「成長できる環境があるか」と回答した学生の割合が最多となりました。次に「自分のやりたい仕事ができるか」が続く結果となり、「自分らしさ」「自己実現」を軸に企業を選ぶ様子が見て取れます。

また、職種/部門や勤務地の確約希望を問う設問では、「職種/部門の確約」を希望する学生は、「必ず希望する」「できるだけ希望する」を合わせると6割以上に上り、「勤務地の確約」も同様に、「必ず希望する」「できるだけ希望する」を合わせると、6割以上を占める結果となりました。
多くの学生が確約を望む背景には、「やりたいこと」「働き方」に対してこだわりを持つ学生が増えている点が挙げられます。

2025年3月調査時点における学生の就職活動に関する不安については、「希望する企業のインターンシップに参加できるか」と答えた学生が一番多く、3割程度に上ります。
また、企業に対する要望としては、「良いところだけでなく苦労話も発信してほしい」「リアルな部分を知りたい」といった声が聞かれ、企業にリアルな情報提供を求めていることがわかりました。
企業としても、ネガティブな情報も含め、きれい事だけに終始しないリアルな情報提供が求められていることを理解しておく必要があるでしょう。

調査結果の詳細を確認したい方は、下記記事をご覧ください。
≫ 「27卒学生の就職活動における意識調査」
◆ WORKS REVIEW 実施内容
ワークス・ジャパンが実施した「27卒学生の就職活動における意識調査」では、多くの学生が自身のキャリアプランを重視しており、就職活動段階から具体的な働くイメージを持ちたいと考えている様子がうかがえました。一方、学生の希望に応じた配属制度や選考プロセスを整備、現場社員との連携に課題を感じる人事担当者は少なくないかと思います。
そこで今回は、「東日本旅客鉄道株式会社」と「富士通株式会社」をゲストにお招きし、WORKS REVIEWを実施。新卒一括採用の在り方を見直した背景や、現在注力している取り組みなど、各社が実際に実施している施策やその効果についてうかがいました。
※出演者情報はセミナー開催時点(2025年5月15日)のものです。
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出演者

東日本旅客鉄道株式会社
人財戦略部 人財育成ユニット
(企画・ダイバーシティ推進)
長田 温 氏

富士通株式会社
Employee Success本部 人材採用センター
シニアマネージャー
田中 雄輝 氏
2006年新卒で富士通に入社。大手SIer向けラージアカウントのビジネスプロデューサーを9年経験。
2015年からコーポレート部門に異動し、東京オリンピック・パラリンピック推進本部にて、政府や自治体、企業各社との渉外活動を経験。
2019年に内閣官房に出向、大臣広報として、メディアとの会見や、取材の調整を経験。
東京大会終了後、2021年に富士通に帰任。
Employee Success本部企業スポーツ推進室にて、
新設された地域/社会貢献グループの立ち上げに関わり、川崎市等とのスポーツSDGs企画を推進。
2023年に人材採用センターに異動、新卒採用全般を総括。
新卒一括採用を見直した背景
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富士通
田中 -
弊社では情報通信技術を軸とした事業を展開していますが、DXへのトレンド移行に伴い、ビジネス環境は年々、多様化・複雑化しています。
お客様も、業種をまたいだ事業を新たに開始したり、クロスビジネスを計画したりするケースが増えており、従来の「一括採用+配属」では、対応が難しくなりつつあります。特に、AI、クラウド、コンサルなどを中心とした、高い専門性を備えた人材の確保が急務になっており、ジョブ型採用を通じて専門人材の獲得が求められるようになりました。
そこで弊社では事業モデルの変革に合わせて、2020年からジョブ型人材マネジメントを全社適用し、採用の在り方をジョブ型にフルモデルチェンジしました。しかし、新卒採用に限っては、以前と変わらず学歴に紐づいた一律の処遇が行われていました。
経営層間で頻繁に議論が交わされる中、遂に新卒採用も26年度からジョブ型採用を全面導入するに至りました。
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東日本旅客鉄道
長田 -
これまでJR東日本では、鉄道に特化した経営体質が長く続いていましたが、人口減少やコロナ禍を経て、「鉄道事業一本では、大きな成長は見込めない」という危機感を抱いていました。そのような背景のもと、未来に向けて持続的成長を実現する企業体質への変革を目指し、「モビリティ(鉄道)」と「生活ソリューション」の二軸経営の推進を開始しました。
しかし、経営方針を転換したものの、生活ソリューションを専門的にブラッシュアップできる人材の数が不足しており、また内製で育っていない現状が課題として浮き彫りになりました。
生活ソリューション領域の専門人材確保に向け、弊社では24年度から「産業地域開発・不動産」「生活サービス・地域事業」「データマーケティング」の3分野でジョブ型採用を開始しました。従来型のメンバーシップ型採用も継続しつつ、必要な領域・分野を見極めながらジョブ型採用を実施している点が特徴です。
ジョブ型採用導入の手順と現時点の評価
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富士通
田中 -
ジョブ型採用を本格的に導入するのは26年度からですが、弊社では既に25年度から、採用後に配属調整を行う「オープンコース」を廃止し、職種別採用を試みていました。社内では「良い人材が来なくなるのではないか」「応募が減るのではないか」などの懸念の声もありましたが、職種別採用を実施した成果としては、応募者数に大きな変化はなく、質の向上や辞退率の改善が見られました。
効果への確信を持つことができた25卒度の成果を活かし、26卒度からはジョブディスクリプションを公開し、インターンシップを経て選考に進むプロセスへと採用の在り方を変更しました。
技術職に関しては、数年先行してジョブ型採用を進めてきたこともあり、今ではキャリア採用とほぼ変わらない要件で選考を実施できる基盤が整っています。ビジネス部門においてもジョブディスクリプションの作成や評価基準、インターンシップ実施の工数など、様々な課題がありましたが、26年度から全職種でジョブ型採用が実施できる環境が整いました。
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東日本旅客鉄道
長田 -
ジョブ型採用の導入にあたっては「従来の鉄道の強み」と「新事業の魅力」の両面発信を強化しており、鉄道領域以外の事業に関しても学生からの理解・関心が深まっている印象を受けます。一方、学生の関心が新規事業に偏る側面もあります。そのため、鉄道オペレーションという最大の資源と高い技術力が基盤にあるからこそ、新規事業の推進を通じた攻めの経営を実現できる旨をしっかり訴求する必要があると感じています。
また、ジョブ型採用が浸透すれば、入社を希望する企業のジョブ型採用要件に自分の能力を当てはめてしまい、学生時代の多様な経験を無駄にしてしまう恐れも生じ得ると考えています。
そのため採用選考では、学生時代の経験がジョブ型採用の要件に合致しなくても、「JR東日本のジョブ型を理解してくれているか」「“ジョブディスクリプションに記載されたスキルを身につけて専門性を発揮したい”など、具体的なビジョンやマインドを持っているか」、という点を重視するようにしています。
経営戦略と連動した人事(採用)戦略遂行に必要な採用担当のマインド
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東日本旅客鉄道
長田 -
今の学生はリテラシーが高く、多様なツールを駆使して必要な情報を網羅的に収集するスキルに長けています。しかし、収集した情報を取捨選択するスキルが十分ではないと感じることも多々あります。さらに、今の学生はタイパを重視する傾向があるため、いざインターンシップに参加する企業を選ぶとなると、シビアに取捨選択を行いながら参加企業を絞り込みます。
このような動向が垣間見える学生に対して、効率的かつ効果的に自社のリアルを伝えるには、「ありのままを伝えること」が大事だと考えています。我々としては、就職活動を“最後の社会見学の機会”と位置づけ、学生がリアルな企業実態を知れる環境整備に取り組んでいます。
たとえば、事前に原稿を用意するのではなく、社員自らが自分の言葉で語れる環境を作ることで、学生にもリアルな職場の様子が伝わると考えています。また、昨年リアル開催した「RAIL TO NEXT」というイベントでは、採用担当者だけでなくプロジェクト担当者にも苦労話などを語ってもらいましたが、学生の反応からリアルな情報が届いたと手応えを感じました。
このように、良い面だけに限らず、そうではない面も見せられるような機会を増やしていくことが、最終的に経営戦略に合致した学生との出会いにつながるのではないでしょうか。
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富士通
田中 -
インターンシップ参加への可否が内定の結果に直結すると思っている学生も少なくありません。そのため、インターンシップに不合格だった場合でも、「本選考に応募しても駄目だ」と学生が思い込んでしまわないよう、そうではない旨を学生には伝え続けています。
また、現場社員には、能力面だけに限らず、カルチャーフィットの有無もしっかり評価して欲しいと伝えています。さらに、ジョブ型採用では求められる能力が高くなりがちですが、やはり評価の対象は学生です。そのため、ポテンシャルもしっかり見極めてほしい旨、加えて必ず学生の成長につながる機会にして欲しいと話しております。
結果として、富士通が入社企業として選ばれないこともあります。その場合でも、またお客様として富士通と関わることがあるかもしれません。
目の前の採用成果だけにとらわれず、より広い視野、大きな気持ちで学生を迎え入れる風土を築いていきたいですね。
新卒一括採用から”能力本位”のジョブ型採用導入への道程~事業モデル変革を担う人材ポートフォリオの強化~ 詳しくはアーカイブ配信で!
<その他、こんなこともお話しています!>
◆ キャリア教育への取り組み、低学年層向けの施策
◆ ジョブディスクリプションを設計する際のポイント
◆ 技術職における女性採用の課題と取り組み
当日お話しいただいたWORKS REVIEWの動画をアーカイブで配信しています。
現状直面している課題や今後の展望など、新卒領域におけるジョブ型採用を推進するにあたって参考になる情報が発信されています!ぜひご視聴ください。
【アーカイブ配信対象】
収録日: 2025/5/15テーマ: 新卒一括採用から”能力本位”のジョブ型採用導入への道程~事業モデル変革を担う人材ポートフォリオの強化~
≫≫ アーカイブ視聴はこちらから
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大学卒業後2012年に入社。
入社後、エキナカの店舗開発やレストラン列車の立ち上げ、6次産業化商品の開発をはじめとした地域活性化事業などを約7年間担当。
その後、グループ会社の採用ブラッシュアップ支援、若手社員の育成、役員秘書などを経て、2023年6月より現職。新卒採用、経験者採用、ウェルカムバック採用など採用業務全般を推進。