ダイレクトリクルーティングとは、企業が候補者へ直接アプローチする採用手法です。
この記事では、その基本的な意味から、他の採用手法との比較、メリット・デメリットまで解説します。
ダイレクトリクルーティングとは?企業が直接アプローチする「攻めの採用手法」
ダイレクトリクルーティングとは、企業が自ら候補者を探し出し、直接アプローチする採用手法を意味します。
従来の求人広告のように応募を「待つ」のではなく、企業側から能動的に動く「攻め」の採用手法としての特徴があります。
この仕組みは、企業が採用したい人材の要件を明確にし、データベースやSNSを通じて候補者へ直接スカウトを送ることが基本です。
ダイレクトリクルーティングが注目を集める2つの市場背景
ダイレクトリクルーティングが注目される市場背景には、主に2つの要因が存在します。
第一に、少子高齢化に伴う労働人口の減少です。
これにより人材獲得競争が激化し、企業は従来の「待ち」の姿勢では優秀な人材を確保することが困難になりました。
第二に、働き方の多様化や転職に対する価値観の変化です。
終身雇用が当たり前ではなくなり、より良い条件やキャリアを求めて転職を考える人が増えました。
しかし、優秀な人材ほど転職市場には現れにくいため、企業から直接アプローチする手法の重要性が高まっています。
ダイレクトソーシングやスカウトとの意味の違い
ダイレクトリクルーティング、ダイレクトソーシング、スカウトは関連性の高い言葉ですが、それぞれ異なる側面や解釈を持つ場合があります。
ダイレクトリクルーティングは、企業が自ら候補者に直接アプローチし、採用する手法全般を指す広義の概念として用いられることがあります。このアプローチには、候補者の探索から採用決定までの一連の活動が含まれると考えられます。
一方、ダイレクトソーシングは、企業が主体となって候補者を探し出し、関係を構築するプロセスに焦点を当てる場合が多いです。これは、潜在的な候補者を発掘し、リストアップする初期段階の活動を指すこともあれば、ダイレクトリクルーティングと同義で使われることもあります。
そしてスカウトは、企業が特定の候補者に対して個別にメッセージを送り、自社への関心を促す行為を指すことが一般的です。これはダイレクトリクルーティングの一環として行われることが多いですが、必ずしもダイレクトソーシングで見つけ出した候補者のみに限定されるわけではありません。
従来の採用手法との比較|求人広告や人材紹介との違いを解説

ダイレクトリクルーティングは、求人広告や人材紹介(エージェント)、ヘッドハンティングといった従来の採用手法とは異なる特徴を持ちます。
これらの手法は、ハローワークや派遣などと同様に、採用の選択肢として存在しますが、アプローチの方法やコスト構造、採用ターゲットが異なります。
それぞれの違いを理解することで、自社の採用課題に最適な手法を選択することが可能になります。
人材紹介サービスとの違い
人材紹介サービスとの最も大きな違いは、採用活動の主体が誰かという点にあります。
人材紹介ではエージェントが候補者の選定から推薦までを代行する一方、ダイレクトリクルーティングでは自社で候補者を探し、直接アプローチします。
これにより、転職市場に出てきていない潜在層にもアプローチできる可能性があります。
また、コスト面では、人材紹介が採用決定時に年収の30〜35%程度の成功報酬が発生するのに対し、ダイレクトリクルーティングはサービスの利用料と比較的安価な成功報酬で済むため、採用人数によっては総コストを抑えることが可能です。
さらに、自社で採用活動を行うため、採用ノウハウや候補者データが社内に蓄積される点も大きな違いです。
求人広告媒体との違い
求人広告媒体との違いは、採用における基本的なスタンスです。
求人広告は、媒体に広告を掲載し、候補者からの応募を「待つ」受け身の手法です。
これに対して、ダイレクトリクルーティングは企業側から候補者を探し出してアプローチする「攻め」の手法となります。
そのため、求人広告では出会えない、転職活動を本格的に行っていない転職潜在層にもアプローチできる点が大きな特徴です。
一方で、ダイレクトリクルーティングは候補者の選定からスカウト文面の作成、日程調整まで全て自社で行う必要があり、求人広告に比べて採用担当者の工数が大幅に増加する傾向があります。
ダイレクトリクルーティングを導入する3つのメリット

ダイレクトリクルーティングの導入には多くのメリットがあります。
この手法は、自社の採用要件に合致する人材をピンポイントで探せるため、特に専門職や経営層の採用を検討している企業に向いている手法です。
また、従来の採用手法に課題を感じている企業にとって、採用活動の質と効率を向上させる効果が期待できます。
ここでは、具体的な3つのメリットを解説します。
1. 転職潜在層など優秀な人材に直接アプローチできる
ダイレクトリクルーティングの最大のメリットは、転職市場に現れにくい優秀な人材や、現時点では転職を具体的に考えていない「転職潜在層」へ直接アプローチできる点です。
求人広告や人材紹介では、主に転職活動中の「転職顕在層」がターゲットとなりますが、本当に優秀な人材は満足な環境で働いていることが多く、積極的に転職活動を行いません。
ITエンジニアや専門性の高い営業職、海外での経験が豊富な人材など、特定のスキルを持つターゲットに対して、企業側から直接アプローチすることで、これまで出会えなかった層との接点を創出できます。
2. 採用コストを長期的に削減できる可能性がある
ダイレクトリクルーティングは、長期的な視点で見ると採用コストの削減につながる可能性があります。
人材紹介サービスを利用した場合、一般的に採用決定者の年収の30〜35%が成功報酬として発生します。
例えば、年収600万円の人材を採用すると、約180〜210万円の手数料が必要です。
一方、ダイレクトリクルーティングサービスの多くは、月額または年額の利用料と、採用決定時に発生する数十万円程度の成功報酬で構成されています。
そのため、複数名採用する場合には、一人あたりの採用単価を人材紹介よりも大幅に低く抑えられることがあります。
3. 採用に関する知見やデータが自社に蓄積される
自社で採用活動を主体的に行うことで、採用に関するノウハウやデータが社内に蓄積される点も大きなメリットです。
候補者を探し、スカウトを送り、面談を行う一連のプロセスを通じて、「どのような人材が自社のターゲットか」「どのようなスカウト文面が響くのか」「候補者は自社のどこに魅力を感じるのか」といった知見がたまります。
また、スカウトの開封率や返信率、面談設定率などの具体的なデータを分析することで、採用戦略を継続的に改善できます。
これらの資産は、将来の採用活動をより効果的かつ効率的に進めるための基盤となります。
ダイレクトリクルーティング導入前に知るべき3つのデメリット

ダイレクトリクルーティングは多くのメリットがある一方で、導入前に理解しておくべきデメリットや課題も存在します。
特に、採用体制が整っていない企業や、ノウハウが全くない状態で始めると、期待した成果を得るのが難しい場合があります。
ここでは、事前に把握しておくべき3つのデメリットについて解説します。
1. 採用担当者の業務負担が増加しやすい
ダイレクトリクルーティングでは、採用担当者が行うべき業務が多岐にわたるため、業務負担が増加しやすいというデメリットがあります。
候補者の検索・選定から始まり、一人ひとりに合わせたスカウト文面の作成、送信、返信者との日程調整、そして応募者管理といった一連の作業を全て自社で行う必要があります。
これらの工数は、従来の採用手法に比べて格段に多くなるため、人事部門が少人数であったり、他の業務と兼務していたりする場合には、リソース不足に陥る可能性があります。
必要に応じて、一部業務を外部の代行サービスに委託することも選択肢の一つです。
2. 短期的な人材確保には向いていない
ダイレクトリクルーティングは、急な欠員補充など、短期的な人材確保には向いていません。
この手法の主なターゲットは、今すぐの転職を考えていない転職潜在層であるため、候補者との接点を持ってから実際に応募、選考、入社に至るまでには時間がかかることが一般的です。
まずはカジュアルな面談から始め、自社の魅力を伝えながら少しずつ関係性を構築していく、中長期的な視点が必要となります。
すぐにでも人材が必要な場合は、人材紹介や求人広告など、他の手法と組み合わせて活用することを検討すべきです。
3. 採用ノウハウがないと成果が出にくい
ダイレクトリクルーティングで成果を出すためには、一定の採用ノウハウが求められます。
自社の採用要件に合致する候補者を膨大なデータベースから見つけ出す検索スキル、候補者の心に響くスカウト文を作成するライティングスキル、そして候補者の入社意欲を高めるためのコミュニケーション能力などが必要です。
これらのノウハウが不足していると、せっかくサービスを導入してもスカウトの返信が全く来なかったり、面談に繋がらなかったりする可能性があります。
そのため、導入初期はサービスの担当者からサポートを受けたり、研修に参加したりして、ノウハウを習得する努力が不可欠です。
ダイレクトリクルーティングの具体的な手法を紹介

ダイレクトリクルーティングには、様々な種類の手法が存在します。
採用したいポジションやターゲット層に応じて、最適な方法を選択し、組み合わせて活用することが成功の鍵です。
ここでは、代表的な4つの手法と、それぞれのフローや特徴について紹介します。
これらの方法を理解し、自社の採用戦略に取り入れることで、より効果的な採用活動が可能になります。
1. 人材データベースを活用したスカウト
最も一般的な手法は、採用媒体が提供する人材データベースを活用してスカウトを送る方法です。
各サービスには、経歴やスキルを登録した多数の候補者がおり、企業はそのデータベースにアクセスして自社の要件に合う人材を検索します。
候補者を見つけたら、企業の魅力や募集ポジションについて記載したスカウトメールを個別に送信し、応募を促します。
この方法は、特定のスキルや経験を持つ人材を効率的に探せるため、多くの企業で導入されています。
返信があれば、面談や選考へと進みます。
2. ビジネスSNSを通じたアプローチ
LinkedInやWantedlyといったビジネスSNSを活用する手法も増えています。
これらのSNSでは、候補者の職務経歴だけでなく、日々の投稿や活動からその人の価値観や興味関心を知ることができます。
企業は候補者のプロフィールを閲覧し、自社に合いそうな人材に直接メッセージを送ってコンタクトを取ります。
特にLinkedInは、海外の優秀な人材やハイクラス層へのアプローチに強く、英語でのコミュニケーションが可能な場合に有効です。
カジュアルな情報交換から始めることで、自然な形で関係を構築できます。
3. イベントや交流会でのコンタクト
自社で技術セミナーやミートアップといったイベントを開催したり、業界のカンファレンスや交流会に参加したりして、候補者と直接接点を持つ方法も有効です。
これらの場では、候補者と直接対話することで、自社の事業内容や社風の魅力をダイレクトに伝えられます。
特にエンジニアなど専門職の採用においては、技術的なテーマのイベントを通じて、候補者の興味を引きつけ、関係性を構築するきっかけになります。
名刺交換やその後のフォローアップを通じて、採用へとつなげていきます。
4. 社員紹介を活用するリファラル採用
リファラル採用は、自社の社員から知人や友人を紹介してもらう採用手法です。
社員の人脈を通じて候補者と接点を持つという点で、企業側から能動的にアプローチするダイレクトリクルーティングの一種と位置づけられます。
リファラル採用の大きなメリットは、社員という信頼できるフィルターを通しているため、カルチャーフィットしやすく、入社後の定着率が高い傾向にある点です。
また、外部サービスを利用しないため、採用コストを大幅に抑えることが可能です。
成功させるには、社員が積極的に協力したくなるような制度設計が重要となります。
ダイレクトリクルーティングを成功に導く5つのポイント

ダイレクトリクルーティングは、ただサービスを導入するだけでは成功しません。
成果を出すためには、戦略的なアプローチと継続的な改善活動が不可欠です。
成功のコツは、候補者の視点に立ち、丁寧なコミュニケーションを心がけることにあります。
ここでは、ダイレクトリクルーティングの成功率を高めるために押さえておくべき5つの重要なポイントについて解説します。
1. 採用したい人物像(ペルソナ)を明確に定義する
ダイレクトリクルーティングを成功させるための第一歩は、採用したい人物像(ペルソナ)を具体的かつ明確に定義することです。
単にスキルや経験年数といった条件だけでなく、どのような価値観を持ち、どのような働き方を好み、どのようなキャリアを目指しているのかといった、人物の内面にまで踏み込んで設定します。
ペルソナが明確であれば、膨大なデータベースの中から探すべきターゲットが絞り込まれ、候補者検索の効率が上がります。
また、ペルソナに合わせたスカウト文面を作成できるため、ミスマッチの防止にも繋がります。
2. 候補者の心に響く魅力的なスカウトメールを作成する
候補者は多くの企業からスカウトメールを受け取っているため、テンプレートをそのまま送るような画一的な文面では開封すらされません。
候補者のプロフィールを丁寧に読み込み、「あなたのこういう経験やスキルに魅力を感じた」「弊社のこの部分で活躍できると考えた」など、なぜその人に連絡したのかを具体的に伝えることが重要です。
このようなパーソナライズされたスカウト文は、候補者に「自分をしっかり見てくれている」という印象を与え、開封率や返信率の向上に直結します。
結果として応募率を高めることにもなります。
3. ターゲット層に適したサービスや媒体を選ぶ
採用したいターゲット層に応じて、適切なサービスや媒体を選ぶことが極めて重要です。
例えば、ハイクラスな経営幹部を探しているのに、若手向けのサービスを使っても効果は期待できません。
逆に、若手のポテンシャル採用を狙うなら、新卒や第二新卒に強い媒体を選ぶべきです。
エンジニアならIT・Web業界に特化したサービス、デザイナーならクリエイター向けのサービスといったように、各媒体の登録者層や特徴を理解し、自社の採用ターゲットが最も多く利用しているプラットフォームを選択することで、アプローチの効率と精度が格段に向上します。
4. 候補者へのスピーディーで丁寧な対応を徹底する
候補者から返信があった場合、スピーディーかつ丁寧に対応することが機会損失を防ぐ上で非常に重要です。
優秀な候補者ほど、複数の企業からアプローチを受けています。
返信が遅れると、その間に他社の選考が進んでしまったり、候補者の熱意が冷めてしまったりする可能性があります。
原則として24時間以内に返信し、次のステップであるカジュアル面談などを速やかに設定することが求められます。
一貫して丁寧なコミュニケーションを心がけることで、候補者の企業に対する印象も良くなり、入社意欲の向上につながります。
5. 定期的に活動を振り返りPDCAサイクルを回す
ダイレクトリクルーティングは、一度始めたら終わりではありません。
継続的に成果を出すためには、定期的な活動の振り返りと改善が不可欠です。
スカウトの送信数、開封率、返信率、面談設定率、内定承諾率といった各段階の数値をデータとして計測・分析します。
どのターゲット層からの反応が良いか、どのようなスカウト文面の効果が高かったかを検証し、次のアクションに活かすというPDCAサイクルを回し続けることが重要です。
この地道な改善活動が、長期的な採用成功の基盤を築きます。
ダイレクトリクルーティングに関するよくある質問

ダイレクトリクルーティングの導入を検討するにあたり、費用や運用の難易度、成果が出るまでの期間など、様々な疑問が生じます。
ここでは、企業の採用担当者から特によく寄せられる質問とその回答をまとめました。
これらの情報を参考にすることで、導入への不安を解消し、具体的な検討を進めることができます。
Q. ダイレクトリクルーティングの費用相場はどれくらいですか?
ダイレクトリクルーティングの費用は、主に「初期費用」「月額(または年額)のシステム利用料」「成功報酬」で構成されます。料金はサービスによって大きく異なり、初期費用が無料のサービスもあれば、年間の利用料が100万円以上かかるものもあります。
成功報酬型の相場は、理論年収の15~35%程度が目安とされることもあり、サービスによって幅があります。人材紹介サービスの手数料との比較では、個別のサービスや契約内容によって費用が異なるため、一概に安価であるとは言えません。
Q. 採用未経験の担当者でもダイレクトリクルーティングは可能ですか?
はい、可能です。
ただし、成果を出すためには採用ノウハウの習得が不可欠です。多くのサービスでは、導入時に専任の担当者によるサポートや、効果的なスカウト文面の作成方法に関するセミナーを提供しています。これらのサポート体制を活用し、積極的に知識を吸収することで、未経験からでも成果を上げることは十分に可能です。
Q. 成果が出るまでにどのくらいの期間がかかりますか?
一概には言えませんが、一般的に成果が出るまでには3ヶ月から半年程度の期間を見込むのが妥当です。
採用したい職種の難易度や市場の状況、担当者の稼働時間によって大きく変動します。
特に転職潜在層へのアプローチが中心となるため、すぐに結果が出るとは考えず、中長期的な視点で候補者との関係構築に取り組む姿勢が重要です。
まとめ
ダイレクトリクルーティングは、企業が主体となって候補者に直接アプローチする「攻め」の採用手法です。
労働人口の減少や働き方の多様化といった市場背景から、その重要性は年々高まっています。
転職潜在層を含む優秀な人材にアプローチできる、採用コストを削減できる可能性がある、社内に採用ノウハウが蓄積されるといったメリットがある一方、採用担当者の工数増加や、成果を出すために専門的なノウハウが必要といった側面も持ち合わせます。
成功のためには、明確なペルソナ設定、魅力的なスカウト文面の作成、そしてPDCAサイクルを回し続けることが不可欠です。
自社の採用課題と照らし合わせ、適切なサービスを選び戦略的に活用することが求められます。
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