採用活動

転職潜在層とは?顕在層との違いや効果的なアプローチ方法を解説

転職潜在層とは、具体的な転職活動はしていないものの、良い機会があれば転職を検討する可能性がある人材のことです。
労働人口の減少や採用競争の激化が進む中、この層へのアプローチは企業の採用成功に不可欠となりつつあります。

この記事では、転職潜在層の定義から顕在層との違い、採用のメリット、具体的なアプローチ手法、成功のポイントまでを網羅的に解説し、採用課題を解決するヒントを提供します。

転職潜在層とは?転職活動をしていない優秀な人材のこと



転職潜在層とは、現職に大きな不満はないものの、より良い条件や環境があれば転職を考える可能性がある層を指します。
積極的に求人を探す転職顕在層とは異なり、良い情報があれば知りたいと考えたり、企業からのスカウトを待ったりしている状態が特徴です。

現職で評価され活躍している優秀な人材も多く含まれるため、この顕在層とは異なる層へいかにアプローチするかが、企業の採用戦略の鍵となります。

転職顕在層との決定的な違いを解説

転職潜在層と顕在層の決定的な違いは、転職意欲の明確さと情報収集の積極性にあります。
顕在層は転職サイトへの登録や応募など、自ら積極的に行動を起こすため、企業は求人広告を掲載して待つ姿勢でも出会えます。

一方、潜在層は転職への意欲が漠然としており、能動的な情報収集を行っていないケースがほとんどです。
そのため、企業側から積極的に情報を届け、興味を喚起するような能動的なアプローチが不可欠となります。
転職潜在層へのアプローチでは、まず自社を認知してもらい、少しずつ関心を高めてもらうという、顕在層とは異なるコミュニケーション戦略が求められます。

なぜ今、転職潜在層へのアプローチが重要なのか?採用における3つのメリット


少子高齢化による労働人口の減少と採用競争の激化により、従来の採用手法だけでは優秀な人材の確保が困難になっています。
転職市場において転職潜在層が占める割合は非常に大きく、この層にアプローチすることは、新たな人材獲得の可能性を広げる上で極めて重要です。

ここでは、転職潜在層を採用することによる3つの具体的なメリットについて解説します。

1. 採用ターゲットとなりうる母数が圧倒的に多い

転職潜在層へのアプローチが重要な最大の理由は、採用ターゲットとなりうる母数が圧倒的に多い点にあります。日本の労働人口のうち、転職活動を積極的に行っている顕在層はごく一部に過ぎません。キャリアSNS「YOUTRUST」の調査によれば、転職意欲がある人のうち、「転職予備軍」と呼ばれる潜在層は約7割とされています。

これは、求人サイトに登録している人材だけをターゲットにする採用活動がいかに限定的であるかを示唆しています。これまで接点のなかった大多数の優秀な人材にアプローチできる可能性が広がることは、企業にとって非常に大きなメリットです。

2. 競合他社との人材獲得競争を避けやすい

転職顕在層は複数の企業に同時に応募していることが多く、採用活動は必然的に他社との人材獲得競争になります。
その結果、内定を出しても辞退されるケースや、採用条件の引き上げ競争に陥ることも少なくありません。

一方、転職潜在層は積極的に転職活動を行っていないため、競合他社がアプローチしている可能性が低いのが特徴です。
企業側から働きかけることで初めて転職を意識するケースも多いため、他社と比較されることなく、自社の魅力をじっくりと伝えることができます。
これにより、無用な採用競争を避け、自社にマッチした人材を効率的に獲得しやすくなります

3. 企業からの働きかけが転職のきっかけになりうる

転職潜在層は、現職に大きな不満はないものの、「より成長できる環境があるなら」「自分のスキルがもっと活かせる場所があれば」といった漠然とした願望を抱いている場合があります。
このような層に対して企業側から魅力的なポジションやキャリアプランを提示することは、彼らが自身のキャリアを見つめ直し、転職を具体的に考える直接的なきっかけとなり得ます。

自社のビジョンや事業の将来性、働く環境の魅力を伝えることで、候補者が今まで気づかなかったキャリアの可能性を提示し、転職意欲を喚起することが可能です。
受け身の姿勢では出会えない人材の心を動かせる点は、潜在層アプローチの大きな魅力です。

[参考] 30歳~49歳の転職活動中の求職者に聞いた最新の 「キャリア求職者調査」はこちら

転職潜在層に自社を認知してもらうための効果的なアプローチ手法7選


転職潜在層にアプローチするには、従来の求人広告とは異なる多様な手法を組み合わせることが効果的です。
彼らは積極的に求人を探していないため、企業側から能動的に接点を作り、自社の存在を認知してもらう必要があります。

ここでは、転職潜在層へのアプローチに有効な7つの手法を紹介します。
自社の採用課題やターゲット層に合わせて、最適な手法を検討してください。

1. ダイレクトリクルーティングで直接スカウトを送る

ダイレクトリクルーティングは、企業が転職サイトやSNSなどのデータベースから自社にマッチする人材を探し出し、直接スカウトメッセージを送る採用手法です。

求人媒体に登録していても積極的な活動をしていない潜在層や、SNS上で自身のスキルを発信している人材に直接アプローチできるため、非常に効果的です。

画一的なメッセージではなく、候補者のプロフィールや経歴を読み込み、なぜその人に興味を持ったのか、自社でどのように活躍できるのかを具体的に伝えることで、興味を持ってもらいやすくなります。

待ちの採用から攻めの採用へ転換する上で中心となる手法です。

2. リファラル採用で社員の信頼できる人脈を活用する

リファラル採用は、自社の社員に知人や友人を紹介してもらう採用手法です。
社員という信頼できる情報源からの働きかけは、転職を考えていなかった潜在層の候補者にとっても安心感があり、話を聞いてみようという気持ちになりやすいのが特徴です。

また、紹介する社員は企業の文化や働き方を熟知しているため、候補者のスキルや人柄が自社にマッチするかを高い精度で判断でき、入社後のミスマッチを低減できるメリットもあります。
社員の個人的なネットワークを通じて、通常の採用活動では出会えない優秀な人材にアプローチできる可能性があります。

3. SNSで企業のリアルな情報を発信する

X(旧Twitter)やFacebook、LinkedInなどのSNSを活用して、企業の情報を発信することも有効なアプローチです。
公式アカウントや社員個人アカウントから、社内の雰囲気、プロジェクトの裏側、社員インタビューといったリアルな情報を継続的に発信することで、企業のファンを増やし、潜在的な候補者との接点を作ります。

求人情報だけでなく、企業のカルチャーやビジョンに共感してもらうことが目的です。
コメントやDMを通じて気軽にコミュニケーションを取れるため、候補者との心理的な距離を縮めやすく、中長期的な関係構築を通じて将来の採用へとつなげることが可能です。

4. オウンドメディアで企業の魅力や文化を伝える

自社で運営するブログやメディア(オウンドメディア)を通じて、専門性の高い情報や企業文化を深く伝えることも、転職潜在層へのアプローチに効果的です。
社員インタビュー、プロジェクトの成功事例、自社が持つ技術に関する解説記事などを掲載することで、事業内容や仕事の面白さを具体的にアピールできます。

これらのコンテンツは企業の資産として蓄積され、検索エンジン経由で自社の技術や分野に興味を持つ潜在層に情報を届けることができます。
すぐに転職を考えていなくても、コンテンツを通じて企業に魅力を感じてもらうことで、将来的な応募のきっかけを作ります。

5. タレントプールで候補者との関係を継続的に構築する

タレントプールとは、過去の選考候補者やイベント参加者、問い合わせがあった人など、自社に興味を持ってくれた人材の情報をデータベース化し、継続的にコミュニケーションを取り続ける仕組みです。
すぐに採用には至らなくても、定期的に会社の最新情報や関連業界のニュース、新たな求人情報などを提供することで、関係性を維持します。

これにより、候補者の転職意欲が高まったタイミングや、自社にフィットするポジションが生まれた際に、スムーズに再アプローチすることが可能です。
中長期的な視点で優秀な人材とのつながりを保つための重要な戦略です。

6. Web広告でターゲット層に広くリーチする

SNS広告やリスティング広告などのWeb広告を活用し、ターゲットとする潜在層に自社の存在を広く認知させる手法も有効です。
年齢、職種、興味関心といった詳細なターゲティングが可能なため、自社が求める人材層に的を絞って広告を配信できます。

広告の内容は、直接的な求人募集だけでなく、企業のカルチャーを紹介する記事や、オンライン開催の会社説明会、カジュアル面談の案内などが考えられます。「まずは話を聞いてみませんか」といった形で応募へのハードルを下げることで、転職を具体的に考えていない層からの反応を得やすくなります。

7. メールマガジンで定期的に有益な情報を提供する

自社のイベントに参加した候補者や、過去に接点を持った人材のリストに対して、メールマガジンを配信することも関係維持に役立ちます。
求人情報だけを送るのではなく、業界の最新トレンド、スキルアップに役立つコラム、社員のインタビュー記事など、受け手にとって価値のある情報を提供することが重要です。

定期的に有益な情報を届けることで、自社を忘れられることを防ぎ、専門性の高い企業としてのブランディングにもつながります。
候補者の転職意欲が高まった際に、応募先として自社を想起してもらいやすくなる効果が期待できます。

転職潜在層の採用を成功に導くための3つのポイント


転職潜在層へのアプローチは、単に手法を実践するだけでは成功しません。
彼らは転職を急いでいないため、企業側の都合を押し付けるようなコミュニケーションは敬遠されます。

候補者の視点に立ち、丁寧に関係を構築していく姿勢が不可欠です。
ここでは、転職潜在層の採用を成功させるために特に重要な3つのポイントを解説します。

1. すぐに選考へ誘導せず、中長期的な信頼関係を築く

転職潜在層に対して、最初から選考や応募を前提としたコミュニケーションを取ることは避けるべきです。
彼らはまだ転職を決意していないため、性急なアプローチは警戒心や不信感を与えかねません。
まずは「一度、情報交換しませんか」「弊社の〇〇という領域に興味はありませんか」といったように、カジュアル面談を設定するのが効果的です。

選考ではなく、あくまで相互理解の場として、自社の事業内容やビジョンを伝え、候補者のキャリア観を聞くことに徹します。
このような丁寧なコミュニケーションを重ね、中長期的な視点で信頼関係を築いていくことが、最終的な採用成功につながります

2. 候補者一人ひとりの状況に合わせたコミュニケーションを心がける

転職潜在層へのアプローチでは、一斉送信のような画一的なメッセージでは心に響きません。
候補者一人ひとりのプロフィールや職務経歴、SNSでの発信内容などを丁寧に読み込み、その人のどこに魅力を感じたのか、自社のどの部分で活躍できそうかを具体的に伝えることが重要です。

相手の状況やキャリアプランを尊重し、パーソナライズされたコミュニケーションを心がけることで、「自分のことをよく理解してくれている」という信頼感が生まれます。
候補者の興味や関心に合わせて提供する情報を変えるなど、きめ細やかな対応が、他の企業との差別化につながり、関係を深める鍵となります。

3. しつこいと思われない適切な頻度で連絡する

継続的なコミュニケーションは重要ですが、その頻度には細心の注意が必要です。連絡が多すぎると「しつこい」と感じられ、かえって企業イメージを損なう可能性があります。初回の連絡で返信がない場合に何度も催促したり、毎週のように連絡したりするのは避けるべきです。

例えば、一度接点を持った後は、数ヶ月に一度、会社の近況や有益な情報を伝える程度にするなど、相手に負担を感じさせない適切な距離感を保つことが求められます。候補者からの返信ペースに合わせるなど、相手の状況を尊重する姿勢を示すことで、良好な関係を維持しやすくなります

[参考] 日立製作所と三菱HCキャピタルが登壇したキャリア採用についての セミナーアーカイブはこちら

転職潜在層の採用に関するよくある質問


ここでは、転職潜在層の採用を検討する人事・採用担当者からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
潜在層へのアプローチにおける具体的な疑問点を解消し、より効果的な採用活動を実践するための参考にしてください。

Q1. 転職潜在層はどのような情報を求めていますか?

転職を前提としない、自身のキャリアの参考になる情報を求めています。
例えば、業界の最新動向、スキルアップに役立つ知識、企業の文化や働く人のリアルな声などです。

すぐに役立つ求人情報よりも、中長期的なキャリア形成を考える上での有益なコンテンツが関心を引きます。

Q2. 潜在層へのアプローチで、特にコストを抑えられる方法はありますか?

リファラル採用やSNSの活用が比較的コストを抑えやすい方法です。
リファラル採用は紹介料が発生する場合もありますが、外部サービス利用料より安価な傾向があります。

自社アカウントでのSNS運用は、人件費のみで始められるため、低コストで継続的な情報発信が可能です。

Q3. 潜在層に送るスカウトメールで最も重要なことは何ですか?

「なぜあなたに連絡したのか」という理由を具体的に伝えることです。
候補者の経歴やスキル、実績のどこに魅力を感じたのかを明確に記載し、特別感を演出することが重要です。

テンプレート文ではなく、心のこもったパーソナルなメッセージが、開封と返信の可能性を高めます。

まとめ


この記事では、転職潜在層の定義から具体的なアプローチ手法までを解説しました。
転職潜在層は、転職市場の大部分を占めるものの、積極的に活動していないため、企業側からの能動的な働きかけが不可欠です。

ダイレクトリクルーティングやリファラル採用、SNSやオウンドメディアを通じた情報発信など、多様な手法を組み合わせ、自社を認知してもらう必要があります。
成功の鍵は、すぐに選考へ誘導するのではなく、カジュアル面談などを通じて候補者一人ひとりと向き合い、中長期的な信頼関係を構築することにあります。
売り手市場における採用競争を勝ち抜くためには、潜在層への戦略的なアプローチが今後の採用活動の成否を分ける要素となります。